競馬の競走馬に対してムチを使うのは当たり前のことですが、可哀想という意見も分かります。
ただ、可哀想というなら……屠殺される馬たちにも言えることですよね。
競走馬になれなければ屠殺され、競走馬になれても良い成績を残せなければ屠殺され……。
ムチより可哀想です。
そんな今回は、競走馬にムチを使うことに対して、深掘りしてみようと思います。
記事の信頼性
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▲記事の内容
昨日、サラブレッドの屠殺について書きました。www.hamuhamu5.comサラブレッドは競走馬になれてもなれなくても、活躍できてもできなくても常に屠殺と共に人生を歩みます。私たちがもし、サラブレッドと同じ環境で生きていたらどうです[…]
競走馬にムチを使う理由と効果
競走馬に当たり前に使うムチですが、馬を痛めつけるために使っているわけではありません。
きちんとした理由があるんです。
ラストスパートを伝える
基本的にムチは最後の直線で使います。
なぜ最後の直線かというと、ラストスパートをかけるからです。
最後の直線に入った時、ムチを使うことで「ラストスパートかけて!」ということを伝えます。
そのムチに反応して、馬は「スパートかけるぞ〜〜」とラストスパートモードに切り替えるんです。
馬の走る気を上げる
ラストスパートを伝える=全力で最後の直線を走り抜くということです。
そのため、馬を速く走らせるという意味でもムチは欠かせません。
仮に、なんとなくやる気がなくてダラダラ勉強している生徒に対してムチを使ったら……「ヤバい!やらなきゃ!」と本気モードになるでしょう。
これは少し極端&虐待的な例ですが、そんな感じで馬を本気にさせるためにムチを使うんです。
賢くて強い馬なら、ムチを打たなくても自然にスパートをかけたり、スパートをかけなくても圧倒的な能力差で勝つこともあります。
でも、全ての馬に対してムチを使うのが基本です。
スタートが悪い馬に使う
人間の陸上競技のように、よーいどん!!的な感じでスタートする競馬。
中にはスタートが悪い馬もいます。
そんな馬に対して「出ムチ」を使うことがあります。
これはスタートが悪くて行き足がつかない馬や、前目につけてレースを進めたい馬に対して使います。
出ムチを使うことで、速く走らせるんです。
ムチの使い方も色々ある
ムチを使うといっても、その使い方は色々あります。
ただなんとなく叩いているだけではありませんよ。
見せムチ
文字通り、ムチを見せるだけです。
ラストスパートだと伝えるため&馬を本気で走らせるためにムチを使うと言いましたが、ムチで叩くことによって走る気が失せる馬もいます。
だからこそ、叩くのではなく、見せることでやる気を引き出します。
肩ムチ
ムチは基本的に馬のお尻を叩くものですが「お尻は嫌!」という馬に対して使います。
お尻ではなく、肩を叩くことでムチの効果を発揮させるんです。
風車ムチ
現在はルールが改定され、風車ムチを見ることはほとんどなくなりました。
文字通り風車が回るようにムチを打つことです。
見たことがある方なら分かるかもしれませんが、少し乱暴に見えますよね。
でも決して乱暴ではなく、馬の動きに合わせて打つという高度なテクニックなんです。
競走馬にドMはいるのか?
人間には基本的にSとMがいますが、競走馬はどうなのでしょうか。
人間はSMプレイというものを楽しんだりしますが、競走馬にそのような気持ちはあるのでしょうか。
普通に考えればなさそうな気がしますが、ムチで叩かれることに対して快感を覚えるタイプと、イライラするタイプに分かれたりします。
基本的に、ムチというのは競走馬を早く走らせるために使うものですが、ムチを使うことで逆にイライラして遅く走る馬だっているかもしれません。
いや、むしろMの馬はムチで叩かれて気持ちよくなって、走れなくなるかもしれません。
そう考えると、ムチの使い方も馬に合わせる必要がありますよね。
馬の見た目ってほとんど同じですが、こんな違いもあるんだな〜と考えると面白いです。
競馬で競走馬にムチを使うのは可哀想なのか?
冷静に見れば、競走馬に対してムチを使うのは動物虐待にも見えます。
馬は痛いと感じているかもしれませんし、もしかしたら快楽を感じているのかもしれません。
それは分かりませんが、競馬という競技のルールとして、ムチを使うことは許されています。
でも1つ不思議に思うことがあって、正直、ムチで叩かれるより人間に蹴られる方が痛くないと思うんです。
でもムチはルールとして許されているから問題なし、蹴ったり叩けば虐待。不思議ですよね。
結局はムチを使うというのは人間が勝手に決めたルールであり、ムチで叩かれるのも蹴られるのも、馬的には不快なのでは?と僕は感じます。
そんなムチですが、個人的には一切の使用を禁止してもいいと思います。
そうすればレースの盛り上がりは欠けるかもしれませんが、動物虐待を訴える人の声は多少収まるでしょう。
ただ、僕は声を大にして言いたい。
ムチをを使うことが動物虐待だと言う人は、競走馬の末路を真に理解していますか?
ムチを使う云々の前に、サラブレッドはこの世に生まれた時点で、競走馬になるという道しかありません。
先ほども少し書きましたが、競走馬になれなければ屠殺され、競走馬になれても成績が悪ければ屠殺され……という人生。
常に死と隣合わせなんです。
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動物虐待というのなら、ムチ云々の問題以前に競馬という競技そのものに問題がありますよね。
そうなれば競馬自体を無くすしかありません。
でもそれは不可能ですし、競馬の経済規模を考えれば、無くなることはあり得ません。
ムチに対して騒ぐというのは非常に思慮が浅いと僕は思います。
ムチを使って早く走って良い成績を収めることができれば、生き残る可能性も高まるわけです。
競走馬はいかに速く走って、他の馬より先にゴールするかで人生が決まります。
そのためにムチは必須なのではないでしょうか。
ムチを使うことが可哀想という以前に、この世に生まれた時点で競走馬になるという運命が決まっていることの方がよっぽど可哀想だと思いますね。
最後に:ムチは意外に愛のムチ
競走馬に対してムチをを使うことが可哀想なのかどうなのか?というお話をしましたが、基本的には愛のムチです。
競馬のルールとしてムチを使うことが許されている以上、使わざるを得ません。
周りの馬は使っているのに、自分だけ使わなかったら……良い成績が残せない=屠殺される可能性が高まりますしね。
そういう意味でも、今の競馬界ではムチを使うのは基本ですし、良い成績を残して生き残る確率を上げるためにも必須です。